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キャリア支援が形だけになる企業の特徴

キャリア支援が形だけになる企業の特徴

2026年01月19日 15:17

こんにちは。

リサーチラーニングラボ代表の細井友和です。

本日は、【キャリア支援が形だけになる企業の特徴】と題して論じてみたいと思います。


近年、多くの企業が「キャリア支援」を人材戦略の柱として掲げています。1on1ミーティング、キャリア面談、自己申告制度、研修制度、社内公募制度など、表面的には“支援の仕組み”が整っているように見える企業も少なくありません。しかし現場の声を聞くと、「結局、何も変わらない」「話すだけで終わる」「キャリアの選択肢が実際には広がらない」といった不満が多く聞かれます。なぜ、キャリア支援は“形だけ”になってしまうのでしょうか。本記事では、その構造的な特徴を整理し、実効性ある支援に変えるための視点を提示します。


1. キャリア支援の目的が曖昧な企業

形骸化の最大の原因は、「なぜキャリア支援をやるのか」という目的が社内で共有されていないことです。

本来、キャリア支援には複数の目的があります。例えば、

* 人材定着率を高める

* 組織の中長期的な人材ポートフォリオを最適化する

* 個人の成長と業績向上を両立させる

しかし、これらが言語化されないまま「人事施策として必要だから」「他社がやっているから」といった理由で導入されると、制度は“やること自体が目的”になってしまいます。その結果、面談は実施するものの、記録して終わり、現場の配置や育成施策には反映されない、という状況が生まれます。

目的が不明確なキャリア支援は、従業員にとっても意味を見出しにくく、「どうせ評価や異動には影響しない」と感じられ、形だけの対話に堕していきます。


2. 管理職任せで人事が関与しない

キャリア支援を現場任せにしている企業も、形骸化しやすい特徴を持っています。

管理職は日々の業務管理や成果責任を背負っており、部下の長期的なキャリア設計まで深く関与する時間的・心理的余裕がないケースが多いのが現実です。その結果、面談は業務進捗や評価の話に終始し、将来のキャリアの話題は「希望があれば聞く」程度に留まります。

一方で、人事部門が制度設計だけを行い、運用やフォローに関与しない場合、キャリア支援は組織全体の人材戦略と切り離された“孤立した施策”になります。本来、人事は個人の希望と組織のニーズを橋渡しする役割を担うべき存在です。この役割が不在だと、キャリア支援は単なる対話イベントで終わってしまいます。


3. 評価制度と連動していない

「本音で話しても損をする」と従業員が感じている企業では、キャリア支援は機能しません。

多くの企業で、キャリア面談と人事評価が形式的に分離されています。しかし実際には、上司が評価者である限り、従業員は無意識のうちに“評価に響かない発言”を選びます。「今の仕事が合わない」「別の部署に挑戦したい」といった本音は、ネガティブに受け取られるのではないかという不安が先に立つのです。

その結果、面談は建前の希望や無難な目標設定で埋め尽くされ、組織としても正確な人材データを得られません。評価制度とキャリア支援の関係性を整理せずに運用している企業ほど、支援が形だけになりやすいと言えます。


4. キャリアの選択肢が実際には存在しない

制度上は「社内公募制度」「異動希望制度」があっても、実際には異動がほとんど起きない企業も少なくありません。

このような環境では、従業員は次第に「話しても意味がない」と学習します。キャリア支援の場で将来像を描いても、それを実現するポストやプロジェクトが社内に用意されていない、あるいは上司の承認がなければ動けない仕組みになっている場合、支援は“希望を聞くだけの場”になってしまいます。

キャリア支援とは、本来「選択肢を広げる仕組み」です。選択肢が存在しない組織では、どれほど丁寧な面談を行っても、形だけの施策に留まります。


5. 短期成果主義が強すぎる

四半期や年度単位の成果を過度に重視する企業では、長期的な育成やキャリア形成が後回しにされがちです。

管理職は目の前の数字を達成するために、「今このポジションで成果を出せる人材」を手放したがりません。その結果、本人の成長や希望よりも、組織の短期的な都合が優先されます。

この状態が続くと、従業員はキャリア支援を「会社のためのヒアリング」と捉え、自分のための機会だとは感じなくなります。支援の場が信頼を失えば、どれだけ制度を整えても、実質的な意味は薄れていきます。


6. データが活用されていない

キャリア面談の記録やスキル情報、希望職種などのデータを蓄積していても、それを人材配置や育成計画に活かしていない企業は多く存在します。

データが「保管されるだけ」で終わっている場合、現場から見るとキャリア支援は“管理のための作業”に映ります。本来であれば、蓄積された情報をもとに、次のプロジェクトアサイン、研修設計、後継者育成計画などに反映させることで、支援が組織の意思決定とつながっていることを示す必要があります。

活用されないデータは、やがて誰にも入力されなくなり、制度そのものが形骸化していきます。


7. 実効性あるキャリア支援に変えるために

形だけのキャリア支援から脱却するためには、以下の視点が欠かせません。

1. 目的の再定義:キャリア支援を人材戦略の中でどう位置づけるのかを明確にする

2. 人事の関与強化:現場任せにせず、組織全体の視点でマッチングと育成を設計する

3. 評価との関係整理:安心して本音を話せる仕組みを作る

4. 選択肢の創出:異動、プロジェクト参加、越境学習など、実際に動けるルートを用意する

5. データ活用:面談情報を経営と人材配置の意思決定につなげる

キャリア支援は、制度として“存在すること”がゴールではありません。個人と組織の関係性を再設計し、双方が成長し続けるための“経営インフラ”として機能してこそ、初めて価値を持ちます。


おわりに

キャリア支援が形だけになる企業の多くは、「仕組みはあるが、意志がない」状態に陥っています。制度やツールは導入した瞬間から、運用次第で価値にも負担にもなります。

今、自社のキャリア支援は、従業員の未来と本気で向き合う仕組みになっているでしょうか。それとも、チェックリストを埋めるための“業務の一つ”になっているでしょうか。この問いに向き合うことこそが、形骸化から抜け出す第一歩になるはずです。


本日はこの辺で。

次回もご期待下さい。


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