
管理職が育成を「自分事」にできない理由
2026年01月18日 17:08
こんにちは。
リサーチラーニングラボ代表の細井友和です。
本日は、【管理職が育成を「自分事」にできない理由】と題して論じてみたいと思います。
企業が人材不足や競争環境の激化に直面する中で、「人を育てること」の重要性はこれまで以上に語られています。しかし現場に目を向けると、育成が制度や研修として存在している一方で、管理職自身がそれを「自分事」として捉えきれていないケースも少なくありません。本記事では、なぜ管理職が育成を自分事にできないのか、その構造的な理由と背景、そして改善に向けた視点について掘り下げていきます。
1. 評価制度が「成果偏重」になっている
多くの組織では、管理職の評価指標が売上や利益、KPIの達成度といった短期的な成果に強く紐づいています。その結果、育成という中長期的な取り組みは「余裕があればやるもの」「理想論」として後回しにされがちです。
管理職にとって、育成に時間を割くことが評価や昇進に直結しないのであれば、どうしても目の前の業績や数値管理が優先されます。これでは育成が「自分の仕事」ではなく、「人事部の仕事」や「会社の方針」として認識されてしまうのも無理はありません。
2. 育成の成果が見えにくい
業績は数値で測れますが、育成の成果はすぐに可視化されるものではありません。部下が成長したとしても、それが育成の成果なのか、本人の努力や外部要因によるものなのかは判別しにくいのが実情です。
そのため、管理職の中には「育てても評価されない」「何をもって成功なのかわからない」と感じ、育成に対する当事者意識が薄れてしまう人もいます。成果が見えない仕事は、どうしてもモチベーションが維持しにくいのです。
3. プレイヤーとしての成功体験から抜け出せない
多くの管理職は、優秀なプレイヤーとして成果を出してきた結果、昇進しています。その成功体験が強いほど、「自分でやった方が早い」「教えるよりも自分が動いた方が確実」という意識に縛られやすくなります。
この状態では、育成は「時間がかかる」「効率が悪い」ものとして捉えられ、結果として部下に任せる機会が減り、成長の場も失われていきます。管理職自身が役割の変化を受け入れられないことが、育成を自分事にできない大きな要因の一つです。
4. 育成スキルを学ぶ機会が不足している
「人を育てること」は専門性の高いスキルです。しかし多くの企業では、管理職に対してマネジメントや育成の体系的な教育を十分に行っていないケースも見られます。
結果として、管理職は「どう育てればいいのかわからない」「正解がわからない」という不安を抱えたまま現場に立たされます。不安や自信のなさは、当事者意識を遠ざける要因になります。自分が得意でない領域ほど、人は無意識に距離を取ってしまうものです。
5. 組織文化が育成を後押ししていない
育成を重視する文化が根付いていない組織では、育成に力を入れる管理職が「甘い」「現場を知らない」と評価されてしまうことさえあります。このような環境では、育成に本気で取り組むこと自体がリスクになってしまいます。
周囲からの評価や上司の価値観が、管理職の行動を大きく左右します。組織全体が育成を重要な経営テーマとして認識していなければ、個々の管理職が育成を自分事として捉えることは難しいでしょう。
6. 育成の責任範囲が曖昧
「誰がどこまで育成に責任を持つのか」が明確でない組織も少なくありません。人事部、上司、本人、それぞれが役割を担うべきですが、その線引きが曖昧だと、結果的に責任が分散されます。
責任が分散されると、「自分がやらなくても誰かがやるだろう」という意識が生まれやすくなります。これもまた、育成を自分事として捉えられなくなる構造的な要因です。
7. 育成が「負担」として認識されている
業務量が多く、常に忙しい管理職にとって、育成は「追加の仕事」として映ることがあります。本来は仕事の一部であるはずの育成が、業務の外側に置かれてしまうのです。
この認識のままでは、育成は義務や負担となり、前向きに取り組む対象にはなりません。自分事として捉えるためには、育成が「自分の成果につながる仕事」であるという実感が必要です。
8. 育成を自分事にするための視点
では、どうすれば管理職は育成を自分事として捉えられるようになるのでしょうか。鍵となるのは、「育成が自分の成果につながる」という構造を組織として設計することです。
例えば、部下の成長やチームのスキル向上が、管理職の評価指標の一部として明確に位置づけられることで、育成は業績と同じレベルの重要な仕事になります。また、育成の成果を可視化する仕組みや、育成に成功した事例を組織内で共有・称賛する文化づくりも有効です。
9. 管理職の役割を再定義する
管理職の役割は、「自分で成果を出す人」から「成果を出せる人を育てる人」へと変化しています。この認識が本人と組織の双方に浸透していなければ、育成はいつまでも周辺業務のままです。
役割の再定義と、それに基づいた評価・育成制度の再設計こそが、管理職の当事者意識を引き出す土台となります。
おわりに
管理職が育成を自分事にできない背景には、個人の意識の問題だけでなく、評価制度、組織文化、役割設計といった構造的な要因が複雑に絡み合っています。育成を本気で機能させたいのであれば、管理職に「頑張ってもらう」だけでは不十分です。
育成が自然と自分事になる仕組みを組織として設計できるかどうか。その問いこそが、人材育成の成否を分ける最大の分岐点なのかもしれません。
本日はこの辺で。
次回もご期待下さい。
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