
採用より育成が重要になる企業の条件
2026年01月17日 18:11
こんにちは。
リサーチラーニングラボ代表の細井友和です。
本日は、【採用より育成が重要になる企業の条件】と題して論じてみたいと思います。
「良い人材が採れない」「採用コストが年々上がっている」「入社してもすぐ辞めてしまう」――多くの企業が、こうした課題を抱えています。
しかし、その根本原因は本当に“採用力”の不足なのでしょうか。近年、経営の現場では「採用より育成のほうが重要になる企業」が確実に増えています。
本記事では、なぜ育成重視の経営へシフトすべきなのか、そしてどのような条件を備えた企業ほど「育成優先型」になるのかを整理していきます。
採用市場の変化が突きつける現実
少子高齢化により、労働人口は年々減少しています。特に中小企業や地方企業では、「募集を出しても応募が来ない」という状況が当たり前になりつつあります。
さらに、転職市場の活性化により、優秀な人材ほど複数の選択肢を持ち、条件や成長環境を冷静に比較しています。
このような環境下で、採用だけに力を入れ続ける経営には限界があります。
“人を集める力”よりも、“人が定着し、成長する力”のほうが、競争優位になる時代に入っているのです。
条件1:事業が属人化している企業
採用より育成が重要になる代表的な条件の一つが、業務やノウハウが特定の人に依存している企業です。
・ベテラン社員がいないと仕事が回らない
・マニュアルがなく、OJTが感覚的
・引き継ぎに時間がかかる
このような状態では、どれだけ採用しても即戦力化は難しく、結果として現場の負担が増え、離職リスクが高まります。
属人化が進んでいる企業ほど、「誰が入っても育つ仕組み」を整えることが経営課題になります。
つまり、採用の成功よりも、育成の設計そのものが競争力になるのです。
条件2:中長期の事業戦略を持っている企業
短期的な売上や人手不足の解消だけを目的に採用を行う企業では、育成は後回しになりがちです。
一方で、3年後、5年後の事業拡大や新規事業を見据えている企業は、次のような視点を持ちます。
「この会社の未来を支える人材は、今どこまで育っているか?」
この問いに向き合う企業ほど、採用は“補充”ではなく、“育成の起点”になります。
将来の幹部候補、専門人材、リーダー層を社内から育てる意識がある企業ほど、育成の重要度は高まります。
条件3:離職率が経営リスクになっている企業
採用コスト、教育コスト、引き継ぎコスト、現場の疲弊――
離職が続く企業では、これらの“見えない損失”が積み重なっています。
特に、一定期間育てた社員が辞めてしまう状態は、採用と育成の両方が無駄になっている状態とも言えます。
このフェーズに入った企業は、次第に「採ること」よりも「辞めない仕組み」に目を向け始めます。
育成はスキルを教えることだけではありません。
・成長実感を持たせる
・キャリアの見通しを示す
・評価と報酬の納得感を高める
こうした要素が揃って初めて、人は組織に留まり、力を発揮します。
条件4:顧客価値が“人の質”に左右される企業
コンサルティング、IT、教育、医療、営業、サービス業など、人そのものが商品価値になる業種では、育成の重要性は極めて高くなります。
設備や仕組みで差別化しにくい業界ほど、最終的な競争力は「誰が対応するか」に集約されます。
この場合、即戦力を外から連れてくるよりも、自社の文化や価値観を理解した人材を育てるほうが、長期的に強い組織になります。
条件5:評価制度と育成が連動していない企業
意外に多いのが、「評価制度はあるが、育成とつながっていない」企業です。
評価は結果だけ、育成は研修だけ――このように分断されていると、社員は次のように感じます。
「頑張っても、何が成長なのか分からない」
「評価される基準と、学ばされる内容が違う」
この状態では、採用しても定着しません。
逆に、評価基準がそのまま育成テーマになっている企業では、社員は成長の方向性を理解し、自律的に学び始めます。
結果として、「人を増やす経営」から「人が育つ経営」へと軸足が移っていきます。
採用と育成の“主従関係”を見直す
誤解してはいけないのは、「採用が不要になる」ということではありません。
重要なのは、採用が主で、育成が従になっていないかという点です。
育成が軸にある企業では、採用は次のように位置づけられます。
・この人は、どこまで伸びるか
・この人は、どんな役割を担えるか
・この人は、組織の未来と合っているか
つまり、“今できること”よりも、“将来できるようになること”を見て採用するのです。
まとめ:育成重視の企業が、最終的に採用に強くなる
興味深いことに、育成に本気で取り組む企業ほど、結果的に採用も強くなります。
なぜなら、「人が育つ会社」という評判そのものが、最大の採用ブランディングになるからです。
・社員が成長している
・キャリアの道筋が見える
・上司が育成に関わっている
こうした環境は、求人広告以上に、優秀な人材を引き寄せます。
これからの時代、企業の競争力は「誰を採ったか」ではなく、
「誰が、どこまで育ったか」で決まると言っても過言ではありません。
もし今、採用がうまくいかないと感じているなら、
その答えは、求人票ではなく、社内の育成の仕組みの中にあるのかもしれません。
本日はこの辺で。
次回もご期待下さい。
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