
人事評価制度と育成施策が噛み合わない理由
2026年01月16日 01:18
こんにちは。
リサーチラーニングラボ代表の細井友和です。
本日は、【人事評価制度と育成施策が噛み合わない理由】と題して論じてみたいと思います。
多くの企業で「人事評価制度」と「育成施策」は同時に存在しています。
評価シートがあり、研修やOJT、eラーニングも用意されている。しかし現場からは、
「評価のために仕事をしている気がする」
「研修を受けても評価には反映されない」
「育成と言いながら、結局は数字しか見ていない」
といった違和感の声が後を絶ちません。
なぜ、人事評価制度と育成施策はこれほどまでに噛み合わないのでしょうか。その理由は、制度設計以前の考え方のズレにあります。
1.評価は「管理」、育成は「支援」という分断構造
多くの組織では、人事評価制度は「管理のための仕組み」、育成施策は「善意の支援」として切り離されています。
* 評価制度:
処遇決定、昇格・降格、賞与配分、統制のための仕組み
* 育成施策:
将来のため、本人の成長のため、モチベーション向上のため
この時点で、評価は過去を裁くもの、育成は未来を良くするものと分断されています。
結果として、評価面談は「詰められる場」、育成面談は「建前の場」になり、本音の対話が成立しません。
評価と育成は本来、一本の線でつながるべきものです。しかし多くの企業では、それぞれが別部門・別予算・別目的で運用され、接続されないまま形骸化していきます。
2.評価項目が「結果偏重」になっている
育成施策が機能しない最大の要因は、評価項目が短期的な成果・数値に偏っている点にあります。
例えば、
* 売上目標の達成率
* 処理件数
* 生産性指標
これらは確かに重要です。しかし、育成施策が扱うのは以下のような要素です。
* 思考力・判断力
* 課題設定力
* コミュニケーション能力
* 再現性のあるスキル
これらは短期で数値化しづらく、評価項目に落とし込みにくいため、評価対象から外されがちです。その結果、社員はこう考えます。
> 「研修で学んでも、評価されるのは結局数字だけ」
この認識が広がると、育成施策は「評価に関係ない余計な仕事」と見なされ、現場で軽視されるようになります。
3.育成のゴールが評価制度と連動していない
多くの育成施策は、目的が曖昧です。
* 何ができるようになれば良いのか
* どのレベルを目指すのか
* それが評価制度のどこに反映されるのか
これらが整理されないまま、「とりあえず研修を実施する」状態になっています。
一方、人事評価制度では
「A評価とは何か」「B評価とは何か」
といった定義は存在しますが、その評価水準に到達するための育成ルートが設計されていないケースがほとんどです。
つまり、
* 評価制度:ゴールだけがある
* 育成施策:道筋だけがある
この分断が、噛み合わなさを生んでいます。
4.上司が「評価者」と「育成者」を両立できていない
制度以上に大きな問題が、運用する上司の立場の曖昧さです。
上司は、
* 評価者として部下を査定する立場
* 育成者として成長を支援する立場
この二つを同時に求められます。しかし現実には、多くの上司が評価者の役割に引きずられています。
評価を下す立場の人に対して、部下は本音を話しません。
失敗や弱み、迷いを見せれば評価が下がると感じるからです。
結果として、
* 面談は無難な報告の場になる
* 課題は表に出てこない
* 育成施策は形式的になる
という悪循環に陥ります。
5.「育成=コスト」という発想が残っている
評価制度は経営の中核として扱われますが、育成施策は未だに「コスト」「余力があればやるもの」と見なされがちです。
そのため、
* 忙しい時期は研修が後回し
* 現場任せのOJTに丸投げ
* 成果測定が行われない
といった状態が常態化します。
育成が軽視される一方で、評価だけが厳格に運用されれば、社員は「育ててもらえないのに評価される」という理不尽さを感じ、エンゲージメントは低下します。
6.噛み合わない本当の理由は「思想の不一致」
人事評価制度と育成施策が噛み合わない最大の理由は、制度設計の問題ではありません。
それは、組織としての人材観・人間観が整理されていないことです。
* 人は管理すべき存在なのか
* 成長する存在として信じるのか
* 評価は統制か、対話のための道具か
これらが言語化されないまま、制度だけを整えても、現場では必ずズレが生じます。
おわりに:評価と育成を「一本の線」で考える
評価と育成は、切り離すものではありません。
本来は、
> 評価とは、育成の現在地を確認する行為
> 育成とは、次の評価につながる成長支援
であるべきです。
制度を変える前に、まずは「評価とは何のためにあるのか」「育成とは何を目指すのか」を組織として再定義すること。
そこから初めて、人事評価制度と育成施策は噛み合い始めます。
形だけの制度から脱却できるかどうかが、これからの組織の持続性を左右すると言えるでしょう。
本日はこの辺で。
次回もご期待下さい。
追伸:
本記事の内容をPDFファイル講座として作成しました。
【PDF講座】
人事評価制度と育成施策が噛み合わない理由
―「評価」と「育成」を別物として扱う組織の限界―
「評価制度は整えているのに、人が育たない」
「研修をやっても、現場が変わらない」
「評価面談が“査定の場”になってしまっている」
このような悩みを抱えていませんか?
多くの企業では、
人事評価制度と育成施策がそれぞれ存在しているにもかかわらず、
両者がうまく噛み合わないまま運用されています。
その結果、
* 育成が形骸化する
* 社員が評価に納得できない
* 上司と部下の対話が浅くなる
といった問題が慢性化していきます。
本PDF講座では、
「制度が悪い」「現場が悪い」といった表面的な議論ではなく、
なぜ構造的に“噛み合わなくなるのか”を人材育成の視点から丁寧に解き明かします。
このPDF講座でわかること
本講座では、以下のようなテーマを扱っています。
* なぜ評価制度は「管理」に偏り、育成と分断されるのか
* 評価項目が結果偏重になることで起きる弊害
* 育成施策が「評価に反映されない」と感じられる本当の理由
* 上司が「評価者」と「育成者」を両立できなくなる構造
* 育成がコスト扱いされる組織の共通点
* 評価と育成を“一本の線”として再設計するための考え方
制度論だけではなく、
現場で実際に起きている違和感の正体を言語化している点が特徴です。
こんな方におすすめです
* 人事評価制度を見直したいが、どこから手を付ければよいかわからない方
* 育成施策を導入しているのに成果を感じられない人事担当者
* 評価面談や育成面談に違和感を抱えている管理職の方
* 「評価」と「育成」を一体で考えたい経営層の方
* 人材育成が形骸化している理由を構造的に理解したい方
PDF講座の内容(概要)
* 形式:PDFファイル
* ボリューム:約55ページ
* 特徴:
* そのまま社内説明資料の参考にできる
* 評価制度・育成施策を整理する思考フレームとして活用可能
* 制度導入・見直し前の「前提整理」に最適
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ご購入前に内容の雰囲気をご確認いただけるよう、
一部抜粋版のサンプルをご用意しています。
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※サンプルには本編の一部のみを掲載しています。
※具体的な構造解説・考察は製品版PDFにて詳しく解説しています。
価格・ご購入方法
* 販売価格:2,200円(税込)
* 形式:PDFファイル
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以下の決済方法をご利用いただけます。
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最後に
評価制度と育成施策が噛み合わないのは、
現場や個人の努力不足ではありません。
そもそもの「考え方」と「前提」が整理されていないことが原因です。
本PDF講座は、
制度を「作る前」「変える前」に読むことで、
人事施策の迷走を防ぐための思考の土台となる内容です。
形だけの制度運用から抜け出したい方に、
ぜひ一度お読みいただければと思います。
リサーチラーニングラボでは以下の業務も行っております。
<eラーニング事業>
・課題解決型eラーニング講座制作および販売
→URLはこちら:https://labo-manabi.hp.peraichi.com/
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